こんにちは。うちの子動物病院です。
夏も終わり、朝晩寒くなってまいりました。
体調管理にはお気をつけください。
今回のお話は・・・
慢性腎臓病は猫の死因として癌の次に多い病気です。慢性腎臓病にならなければ、猫はもっと長生きできるでしょう。そんな夢のような話が現実になろうとしています。東京大学の宮崎徹教授が「猫の慢性腎臓病を予防する薬」を開発したのです。一体どのような薬なのでしょうか?
【慢性腎臓病が猫に多い理由】
猫は犬に比べて慢性腎臓病がとても多い動物です。多くの慢性腎臓病は、腎臓に不要物が詰まり、徐々に破壊されることにより起こります。人間や猫以外の動物は、AIMというタンパク質が働き、そういった詰まりはその都度解消されます。しかし、猫だけはこのAIMが他の動物のように機能していないことが発見されました。このことが猫の慢性腎臓病に関係するわけです。
【AIMとは?】
AIMはタンパク質のひとつです。宮崎教授は「マクロファージを死ににくくする・元気にする」という意味の英語の頭文字を取りAIMと名付けました。マクロファージは免疫細胞のひとつで、AIMを目印にして、死んだ細胞や細菌等の異物を除去します。つまり、AIMが機能していなければ、マクロファージが腎臓内のゴミを掃除できず、慢性腎臓病に進行することになります。
【AIMの使い方、費用】
東京大学のサイトによると、「若い時期から予防的に注射として投与する」となっています。具体的には書いてないですが、3,4歳から定期的に注射をうつことになるのでしょう。費用も現時点では不明ですが、決して安くはないと思われます。
【AIMが実用化されたときの課題】
AIMが実用化されれば、猫の寿命が30歳に延びることも不可能ではないことになり、愛猫家にとっては大変喜ばしいことです。しかし、その反面いろいろな課題が生じてくると思われます。例えば、「飼い主自身がシニアになり、猫を世話できなくなる」「AIMを注射し続ける経済力」「長生きするぶん、他の病気になる可能性の増大」等が挙げられます。
【まとめ】
慢性腎臓病で苦しむ猫が少なくなる日もそう遠くないのかもしれませんが、上記のような問題も生じてきます。今後の研究開発に期待しましょう。